眼、口内や膣が乾く

更年期に起こる皮膚や粘膜の乾燥感は、年齢を重ねた事によって卵巣機能が低下し、女性ホルモンの分泌量が減ってしまった事が原因となります。

 

 

卵巣機能の働きや女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)の分泌量は、年齢を重ねていく事で機能が低下していきます。その後、平均『50歳前後』では閉経を迎え、前後5年間の45~55歳が更年期に差しかかる期間となっています。

 

エストロゲンには、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸といった物質の合成を促進させる働きがあります。これらの物質は皮膚の奥にある『真皮』という部分に存在し、水分を保持して肌にハリを持たせる事と、粘膜の潤いを保つ役割を果たしています。

 

プロゲステロンは、皮脂を分泌するホルモンです。皮脂はニキビや顔のテカりの原因にもなりますが、同時に皮膚を膜のように覆い、水分が蒸発するのを防ぐ役割もしています。

 

この事から、女性ホルモンの分泌が減ると、皮膚から水分が蒸発しやすくなり、皮脂の分泌量も低下して、皮膚が乾燥しやすくなります。

 

更年期のドライ症状一覧

 

皮膚が乾燥するとカサカサした肌触りとなり、皮膚表面のバリア機能が失われて、角質層が白い粉のようになって出てきます。ほか、かゆみや赤み、シミ、シワ、たるみ、ニキビなどが発生しやすくなります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の乾燥の症状はドライアイが挙げられます。異物感やゴロゴロする感じがしたり、目が充血しやすくなったりする症状です。目へ緊張感を与えてしまう為、肩こりや頭痛の原因にもなることがあります。

 

口の乾燥は、口腔内の唾液を減少させ、カサカサ感を強めます。そのような状況になると、口の中で菌が繁殖しやすくなったり、口臭が強くなったりします。

 

乾燥症状としては、ムズムズ感や鼻水の増加、痛み、鼻血が出やすくなるなどが挙げられます。また、免疫力の低下によって細菌に感染しやすくなり、クシャミや鼻水など、鼻炎のような症状が出ることもあります。

 

のどの乾燥症状としては、咳やイガイガ感、たんが出やすくなったりします。鼻と同じく、免疫力が低下することで炎症が起こりやすく、のどの痛みが生じることもあります。

 

膣の乾燥症状としては、性行時の痛みが最も特徴的です。そのほか慢性的な痛みやかゆみが生じ、膣炎を引き起こす場合もあります。症状が重くなると、尿漏れしやすくなる可能性もあります。

更年期における乾燥の対策法

更年期障害の症状は代謝を促進させると改善される可能性があります。

 

生活習慣を改善して、代謝機能を向上させるようにするとよいでしょう。

 

代謝を向上させるためには十分な睡眠と適度な運動が重要になります。

 

睡眠時間は最低1日6時間取るようにして、1日に30分程度でいいのでじんわりと汗をかく程度の運動を行うようにしましょう。

 

十分な睡眠と適度な運動は自律神経を整えて更年期障害の症状を改善します。

ビタミンAと脂質

 

食事からビタミンAと脂質を十分に摂取することも乾燥対策に重要です。

 

ビタミンAは粘膜や皮膚の健康を維持するビタミンです。

 

動物のレバーや人参、カボチャなどの緑黄色野菜に豊富に含まれており、脂溶性であるため脂質と一緒に摂取することで吸収率が上がります。

 

ビタミンAを十分に摂取していれば皮膚や粘膜の乾燥を改善し、免疫力の向上効果が期待できるでしょう。

漢方薬

 

更年期障害治療のための漢方薬に「当帰芍薬散」というものがあります。

 

更年期障害は交感神経が優位になりやすく血管が収縮し、体の末端部への血流が少なくなります。

 

血流が少なくなることで酸素や栄養素の供給が不足し、代謝が低下します。

 

当帰芍薬散を服用することで血流が改善され、末端部への酸素や栄養素の供給が増加し代謝が向上します。そうすることで細胞の持つ水分を保持する機能が整えられ乾燥を防ぎます。