ホルモンバランスについて

女性ホルモンのバランスの乱れは、女性の体や心にさまざまな不調をもたらします。ここでは、ホルモンバランスが乱れる原因や、それによってどんなトラブルがもたらされるか、ホルモンバランスを整える方法などをご紹介していきます。

ホルモンバランスが乱れる原因

女性ホルモンは卵巣から分泌されます

卵巣に「女性ホルモンを分泌するように」と司令を出しているのは脳の視床下部と下垂体です。

 

まず視床下部が下垂体に「性腺刺激ホルモン」の分泌するように司令を出し、この性腺刺激ホルモンの刺激を受けて、卵巣は女性ホルモンを分泌するのです。

 

また、視床下部は血液中の女性ホルモンの濃度をチェックし、その分泌量の調整も行っています。

 

つまり視床下部は、女性ホルモンを分泌する司令塔にあたるわけですが、ここには周囲の状況に応じて体の機能を自動的にコントロールする「自律神経」の司令塔もあります。このため、不規則な生活や睡眠不足、偏った食生活、過度なストレスなどの影響を受けて自律神経が乱れると、その乱れがホルモンの司令塔にも影響し、ホルモンバランスが乱れてしまうのです。

 

年齢にも関係

女性ホルモンは、思春期になると活発に分泌されるようになっていきます。しかし、この時期はまだ卵巣の機能が未熟なため、ホルモンバランスをうまく調整できず、体や心が不安定になりがちです。

また、閉経前後(更年期)になると、卵巣機能が徐々に衰えてエストロゲンの分泌量が急激に減っていきます。体がその変化にうまく対応できず、更年期もさまざまな不調が現れるようになります。

 

女性ホルモンの乱れで起こりやすいこと

生理不順

 

正常な生理周期は25〜38日

 

ホルモンバランスが乱れると、生理周期が短く24日以内で次の生理が始まってしまう「頻発月経」

または月経周期が39日以上に長くなる「稀発月経」になることがあります。

 

また、ホルモンバランスの乱れは、正常なら3〜7日で終わるはずの生理が8日以上も続く「過長月経」、生理が2日以内で終わってしまう「過短月経」、妊娠しているわけでもないのに生理が3ヶ月以上止まってしまう「無月経」を招くこともあります。

 

生理痛

生理中は、子宮を収縮させて月経血を体外に押し出すために、子宮内膜から子宮を収縮させる働きをもつ「プロスタグランジン」という物質が分泌されます。

 

ホルモンバランスが乱れていると、このプロスタグランジンが通常よりも多く分泌され、子宮が激しく収縮して生理痛が強くなることがあります。

 

ただし、強い生理痛には、「子宮内膜症」や「子宮筋腫」などの病気が関係しているケースもあります。

 

 PMS(月経前症候群)

PMS(月経前症候群)とは、生理が始まる1週間くらい前から心や体に現れる不快な症状のこと。

 

イライラ、不安、落ち込み、憂鬱、集中力の低下、頭痛、腰痛、肩こり、乳房の張りや痛み、眠気、肌荒れなど

 

その症状は多岐に及び、人によって現れる症状も異なります。

 

不正出血

不正出血とは、生理でないときに起こる子宮内部や膣からの出血のこと。

 

ホルモンバランスが乱れたことで、子宮内膜が刺激され、剥がれ落ちることで起こります。

 

ただし、不正出血は。。。

 

「子宮頸管ポリープ」や「子宮内膜ポリープ」、「子宮筋腫」、「子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)」などの病気によっても起こることがあります。不正出血は数日間で止まれば様子をみてもいいですが、長く続いたり頻繁に起こるときは病院を受診することをお勧めします。

 

 自律神経失調症

ホルモンバランスが乱れると

自律神経にもその影響が及び

自律神経失調症の症状が

現れることがあります。

 

女性ホルモンを乱さないための対処法

ホルモンバランスを整えるには、規則正しい生活を送ることが大切です。

 

朝起きる時間を一定にする

 

十分な睡眠をとる

 

食事は1日3食規則正しく食べる

 

適度な運動をする

 

といったことを心がけ、体のリズムを整えていきましょう。

 

また、過度なストレスもホルモンバランスを乱す大きな要因になります。意識的にリラックスする時間を持つようにしたり、没頭できる趣味を見つけたりするなど、ストレスを溜め込まないように工夫をしましょう。

 

女性ホルモンの乱れからくる婦人科系のトラブルに用いられる代表的な漢方薬

 

・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

…血の巡りをよくする作用があり、生理にともなう下腹部痛、腰痛、頭痛、肩こりなどの症状の改善に効果があります。

 

 

・加味逍遥散(かみしょうようさん)

…気(エネルギー)の巡りをよくして緊張を和らげる作用があり、イライラや憂鬱など、心の症状の改善に役立ちます。また、のぼせや不眠、肩こり、下痢、便秘などの症状がある場合にも用いられることがあります。

 

 

・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

…血の巡りをよくして、体内の余分な水分の排出を促す作用があり、むくみやめまい、疲れやすいといった症状の改善に効果的です。

 

 

 

ただし、漢方薬の処方は、その人の状態や体質に合わせて行われるので、同じように見える症状でも、人によって処方される薬が変わってきますのでお近くの漢方薬局などでご相談くださいね。

 

ホルモンバランスを整える食事

 

女性ホルモンのバランスを整えるには、食事を規則正しく摂るだけでなく、その内容も見直すことが大切です。栄養バランスの良い食事を心がけたうえで

 

・イソフラボン

・ビタミンB6・E

 

などを積極的に摂るようにしましょう。

 

イソフラボンは、納豆や豆腐、厚揚げ、豆乳などの大豆製品に、ビタミンB6は、カツオ、マグロ、鮭などの魚類に、ビタミンEは、かぼちゃ、アボガド、パプリカ、ごま、ナッツ類などに多く含まれています。

 

ホルモンバランスを乱す食事とサヨナラしよう

・食事をする時間が日によってバラバラ

・朝食を抜くことが多い

・インスタント食品やファーストフードをよく食べる

・甘いものを食べ過ぎる

・コーヒーや紅茶など、カフェインの入ったものをよく飲む

・カロリーを気にして肉や魚を控えている

・食事制限だけに頼るダイエットをよくする

・1ヶ月に3kg以上落とすようなダイエットをしたことがある

 

 

女性ホルモンの乱れは、「なんとなく調子が悪い」「なんとなく気分が憂鬱」といった不定愁訴から、生理のトラブル、不妊など、さまざまな不調をもたらします。生活習慣や食生活を改善し、女性ホルモンのバランスを整えるようにしましょう。